トノムラおじさんのメモ

ド新規はアイドルの事がよくわからないので只今カルチャーショックを受ける作業の真っ最中であります

Murder for Two を見てきました。【ネタバレ有】

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6/11追記(追記部分は赤文字)

こんにちは!トノムラおじさんです。

5月28日(土)に舞台「マーダー・フォー・トゥー」を見てきました。

www.murderfortwo.jp

 

 

ミステリー風味ミュージカルコメディ。ピアノを弾きながらの二人芝居。2人で10人以上の演じ分け。最高でした。

松尾さんも坂本くんもカッコイイ。「年齢を重ねた男性としての格好良さ」「佇まいとしての格好良さ」「仕事のできる人間の格好良さ」。ステージの装飾もオフィシャルサイトもパンフレットも演出もカッコイイ。

何よりあのラスト、めちゃくちゃ痺れました。今思い出しても感嘆のため息が出てしまうくらい。表記としては「SO COOL」のかっこ良さ。
坂本くんの言葉を借りるなら「洗練されていてすごくおしゃれ」ということなのです。


とにかく「最高にクール」がてんこもりの舞台。


地声で歌うナンバーが無いにもかかわらず改めて「坂本くんは歌がうまいんだ…」と感じた舞台でした。あのスピードであんなに喉を自由に動かせるなんて本当にすごい。
そして松尾さんの声が届く届く、後方の席だったのですが朗々と声を届けてくださってすっかり聴き惚れてしまいました。
ピアノの音にも個性が出てたのがたまらなく愛おしかったです。坂本くんは本当に振りとして覚えたようで、動作に組み込まれたダンスのよう。「音を奏でる」という点に於いては松尾さんのピアノが特化していたのが印象的で、同じピアノを使っているのにここまで違うか…と感動しました。トノムラは過去に7年ほどピアノを習っていたのですが「この短期間でここまで表現できるようになられた」という事実に恋をしそうです。本当にすごい。

 

 

ということでメタ的表現が好きな人間にはたまらない、二人芝居ならではのくだりがGOOD。

▼「マーカスの電話に来た着信」を「客席の着信音だと勘違いした坂本昌行」が注意する場面。
「(客席に向かって)ちょっと…またですか!?さっき言ったでしょう!」
(やっちまったー顔)
「言ってやってくださいよ先輩!」
「えっ?」
「何か(ペナルティを)与えないと!」
「えっ………えっ………ジュース」
「ちょっ、(そんなこと言ったら)あちこちで鳴りまくりますよ!」
「ぇえ…ち、懲役…」
「、懲役」
「懲役半年」
「懲役ですって」

▼ステフをイスに座らせ無理矢理バレットにしようとするマーカス
「バレットさん…」
「…まだアタシ♥(ステフ)」
↑この辺りは1人何役もやるケースならではの楽しませ方ですね。めちゃくちゃ好みです。


10人以上を演じ分ける坂本くんの「役の切り替わり方」も多種多様で見ていてすごくワクワクしました。声はもちろん、メガネをかけて、姿勢を変えて、ドアをくぐって別の役に。(手が塞がっている時、頭を振ってメガネを顔まで落としてきたのはとってもかわいかったです。)特に坂本くんの前を松尾さんが通ると同時に身体の向きを変えて役が変わる、という画面切り替えがすごく好みでした。カメラがパンする感じ…。演出の方によろしくお伝えください。

 

関ジャニ∞のくだりは普通に笑いました。サービスだったんですかねあれは…。個人的にピアノの上で歌って踊ってコロコロする坂本くんを見られたのが最高でした。ありがたいです。福利厚生がしっかりしている。

 

耳も目も脳も最大限に使って楽しむエキサイティングな舞台でした。叶うことならもう一度見たい…。\再演/ \再演/

 

 

↑ここまでは純粋にエンターテインメントとして楽しんだおじさんの感想

↓ここからは壺に頭を突っ込んで深読みしすぎてしまったおじさんの慟哭

 

 

「あー楽しかった!」と思ったもののストーリーが複雑かつ音声的に届かない部分もあったのでところどころおじさんの中で謎が残ってしまいました。展開が早くて「ん?今のセリフはもしかして…」と考えているうちに次のくだりが終わってしまって、完全に「授業についていけなくて呆然とする学生」現象に襲われました。

ということで今思い出せる限りのあらすじを書きだします。思い出せる限りというか、正直フォロワさんに聞きまわって思い出した部分もあるので「授業についていけなくて呆然としたのち周囲にノートを借りてまわった学生」の凄惨なノートになっています。下手したらおじさんの妄想も入っているかもしれない。怖いですね。よろしくお願いします。

 

もし既に観劇された方やこれから観劇される方で覚えている部分がありましたら補完お手伝いいただければ幸いです。DMお待ちしております。

 

以下ストーリーのネタバレを含みます。未観劇の方は是非ご覧になってから。

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【登場人物】

◆坂本くんが演じた役
ダーリア・ホイットニー♀→殺されたアーサーの奥さん
ステフ・ホイットニー♀→アーサーの姪、大学院生
マレー・フランドン♂→バーブの旦那さん
バーブ・フランドン♀→マレーの奥さん
バレット・ルイス→有名なプリマ・バレリーナ
ドクター・グリフ♂→精神科医
ティミー♂→余興として呼ばれた少年合唱団員①
ヨンカーズ♂→少年合唱団員②
スキッド♂→少年合唱団員③
ヘンリー・ヴィヴァルディ♂→(なぜか訛りの強い)消防士
ヴァネッサ(過去)♀→マーカスの元恋人
警察所長(過去)♂→コラホーン警察所長(ヴァネッサを尋問)

◆松尾さんが演じた役
マーカス・モスコウィッツ♂→コラホーン警察の巡査

◆その他
アーサー・ホイットニー♂→アメリカの有名な小説家。被害者。
ルー♂→マーカスの同僚、同じく巡査
グレイソン刑事→アーサー・ホイットニー殺人事件の担当刑事。

 

 

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演じていた坂本くんを思い出して描いてみました。ステフ、本当にかわいかったですね…!個人的にはマレー・フランドンを演じる坂本くんが一番地声に近くて、マサ感があったので良かったです。

少年合唱団を演じる坂本くんを見て「膝は大丈夫なの…!?」とハラハラしました。パンフレットに載っていた練習風景ではサポーターをしていましたね。 膝は大丈夫なの…!?

 

 

荒すぎる【あらすじ】

アーサーの誕生日にサプライズパーティーを計画したダーリア。フランドン夫婦、バレット、ドクターグリフを招待して家の中に隠れさせます。しかしアーサーは帰宅すると同時に暗闇の中で眉間を撃ち抜かれ絶命。

通報を受けた警察署長は、担当刑事が現場に到着するまでの現場保持にマーカス巡査を指名。同僚のルーと現場に到着したマーカスはマニュアル通りに仕事をしようとします。しかしその場にいた人々に刑事扱いをされたマーカスは「事件を解決したら刑事に昇進できるかもしれない」と担当刑事が到着する52分の間に自力で解決しようと奮起します。

まずはダーリアが「サプライズをしようとした」と説明。次にフランドン夫婦のパート。マレーは奥さんのバーブが犯人だと主張します。そこへ3人の少年合唱団が登場。こんなむごい現場に少年がいるべきではないと言うマーカスに対し、少年合唱団は「テントの火災で仲間が焼け死んだ、火だるまになった仲間を目にした(もっとヤバいものを見た)」(だから大丈夫)と主張します。

そこへアーサーのアイディアノートがあるという事実が判明。しかし何者かに盗まれた後でした。そんなバナナみたいな馬鹿な凶器!

ステフは「マーカスにはパートナーが必要よ!」(そう、自分みたいな!)と主張し、マーカスの捜査を手伝おうとします。しかし当のマーカスはバレットに夢中。最重要参考人として話を聞く、という体で距離を縮めようとします。

バレットはバレットで怪しすぎる過去、動機、当日の動き。「私は銃を持っています。でも、弾丸がないの」「私は人を殺したことがある。それが何か?」と歌い上げます。

そうこうしているうちに、アーサーは"ドクターグリフから得た患者の個人情報を元に小説を書いていた"ことが明らかになります。詰め寄られたドクターグリフは「誰もわしの話を聞いてくれなかった。アーサーだけがわしの話を聞いてくれた。彼は友人だ」と話します。

ドクターグリフが知りうる「次の小説の主人公になり得た人物」を聞きだしたいマーカスは「友情の歌を歌ってくれたらいいよ」というドクターグリフに「一番の友達はYOU」という歌を贈ります。アンサーソングを歌って息切れしたドクターグリフに紅茶を渡すマーカス。ところが紅茶を飲んだドクターグリフは「誰がそうであるかではなく、誰がそうではないのか」という言葉を残し絶命してしまいます。

―ここで突然の消防士(今までずっとトイレに籠っていた)

今まで得た情報を整理するマーカス。ステフの助けを得て推理を進めていきます。そして「誰がそうであるかではなく、誰がそうではないのか」というドクターの言葉から、「小説のモデルにされた人物ではなく、小説のモデルにしてもらえなかった人物」すなわちルーがアーサー殺害の犯人だという答えを導き出します。

ルーを逮捕したマーカスに警察署長から電話が。「この事件を担当するべく向かっていたグレイソン刑事が殺された、ついてはマーカスを刑事に指名したい」という内容。マーカスは「これも君のおかげだステフ」とステフに感謝し「一緒に朝食でも取って次の現場へ行こう」とステフをパートナーに迎える気持ちを表して了。

 

 

 

おぼろげな記憶とパンフレットを駆使して書き出したあらすじです。記憶がボロボロ抜け落ちていく感覚を味わえる貴重な体験をしました。順番が違うとかここが抜けてるとか、もし補完のお手伝い頂ける方いらっしゃいましたら是非…ほんと…あれは夢だったのか…?

 

▼以下は「Murder for Twoはコメディミュージカルとして楽しむ作品」ということを大前提として、「深読みするならば」を羅列しています。読まなくても大丈夫!

 

【わからなかったところ】

●なんでアーサーは初版本を運んでいたの

→アーサーが本を運んでいたのではなく、招待客全員が自分がモデルになった本以外の初版本を持ち込んでアーサーを殴った説

●少年合唱団にアーサー殺害動機はあったの(パンフレットに"少年合唱団を含め全員に動機があってもおかしくない"と書いてある)

→少年合唱団と消防士ですが、マーカスが「君たちの地域はそんな方言なんだ(だいんのことですね)」と話していたとフォロワさんから教えて頂きました。
上記から少年合唱団と消防士(めちゃくちゃ訛ってる)は同じ地域から来た→少年合唱団が9人亡くなったテント火災に関わった消防士、なのかなと思いました。
またこちらもフォロワさんから教えて頂いた「公務員である消防士もドクター・グリフに診てもらっていたのでは?」という推測もあわせるとテントの火事ごと小説のモデルになっていた可能性がありそうです。

●バレットさん何でそんなに着替えのレオタードがあるの(汚してしまうような事をしてきたの)

●バレットさんの銃に弾丸が入っていなかった(?)のはなぜ(聞き取れなかった)

→バレットさんの歌の部分
バレット「銃もあるけど何か? 弾はないの なくなっちゃったの でも彼は撃たれて死んだ訳じゃない」
マーカス「撃たれて死んだんですよ!」
バレット「!?」
というくだりをフォロワさんに教えて頂いたのですが、だとするとドクターグリフが飲んでしまった「毒入り紅茶」はバレットさんがアーサーを毒殺しようとして用意したものだったのではないか、と思いました。でもあれだけ現場にいて死因を勘違いしてるってバレットさんもなかなかやで

●バレットさんは人を殺したことがあるの(正当防衛と言っていた?)

→「何人も殺したけど、陪審員の純粋な殿方がみなさん信じてくださったおかげで正当防衛になった」とフォロワさんに教えて頂きました。スキャンダルを嫌うバレットさんは今までに何人も殺していて、今回も結果的に手は下さなかったけれどアーサーを殺そうとしてはいたんだと思います。

●なんで消防士が出てきたの(唐突過ぎて理解できなかった、少年合唱団のテントが燃えたことと関係ありますか)

→動機としては上記の合唱団とセット説推し、トイレに籠っていたのは合唱団が盗んだアイスを一緒に食べて腹を壊したのでは…?でなきゃただトイレ借りて帰ったおじさん…

●グレイソン刑事の死因はなんだったの(「殺された」以降のくだりを失念)

→「銃で撃たれた!?」とマーカスが話していたとフォロワさんに教えていただきました。

またフォロワさんが
・ルーが発砲した流れ弾が近くまで来ていたグレイソン刑事に当たってしまった
という説を立てていました。

・バレットさんが着替えると言って別室から外に出てグレイソン刑事を殺して戻ってきた
もアリかなと思っています。

●パンフレットの折り返しに印刷されてるmは何なの(mezzo?)

 

 

ところで

 

上記登場人物のうち、その場にいるのにもかかわらず役を振られていない(坂本くんも松尾さんも演じていない)のはルーのみ。

 

「尋問をする前に彼女と人間的に仲を深める必要があると思うんだ。ルー、君もそう思うだろ?」 ―マーカス
「彼には若くて優秀なパートナーが必要だと思うの!いいえ、あなたが悪いって言ってるわけじゃないのよルー」 ―ステフ

 

ルーは役を振られていないので声を発しません。というか"発せません"。彼がしゃべっている(であろう)内容は全て「ルーの発言を受けた(と思われる)マーカスとステフの言動」からしか推測できないのです。
ルーが犯人だとされた時、ルーは発砲しながら室内を逃げ惑います。この時も喋っているのはマーカスのみ。ルーは「発砲している」ことしかわかりません。

追い詰められたルーは外に飛び出し、外にいた少年合唱団によって取り押さえられます。

 

ルーは本当に犯人だったのか?

 

例えばルーが無実を訴えながら逃げ惑っていたとしても、マーカスやステフがその言葉に反応しなければこちら側には伝わりません。観客は常に「マーカス」と「ステフ」というフィルター越しにしかルーを見ることができないのです。

 

Murder for Two ― 2人のための殺人

 

「Two」は誰を指しているのか、「Murder」はどの殺人を指しているのか。少なくとも劇中にアーサー、ドクターグリフ、グレイソン刑事の3人が殺されています。どの"Murder"が、どの"Two"のためだったのか…?

 

お前は何を言っているんだ?

 

つまり何だか難しく捉えたくなってしまいパンフレットを143回くらい開いたり閉じたりしましたが答えが出ないのでそのままブログにしたためた次第です。これはおじさんの孤独な戦いの歴史…

 

 

 

「考えすぎ」という自分と「深読みができなくて何がミステリーか」という自分がいて精神が分裂しそうです。でもそれだけ受け取る側に考える余白を残してくれている作品なのだなぁと思うことにします。冒頭で「ミステリー風味」と書いたのはミステリーかどうか判断しかねたというところからです。精神が分裂しそうです。

 


というわけで最後にトンデモ説をいくつか投げてお開きです。
作品をより(変な方向に)楽しむきっかけになれば幸いです。


次回

『その場にいた人間はマーカス含め全員狂っていたので無実を訴えるルーに気づかない』←狂気の村
『「マーダー・フォー・トゥー」はルーが主人公のアーサーの作品である』←おめでとうありがとうメタ的展開
『ここは精神病棟で容疑者役の男性があの手この手で刑事役の男性のカウンセリングをしていた』←勝手に改造的展開

の3本です!来週もまた見てくれよな!

 

フォロワさんにいろいろ教えて頂いて補完した結果、「誰がそうであるかではなく誰がそうではないのか」は「誰が小説のモデルにされたかではなく誰が小説のモデルにされてないのか」だと思ってたんですけど、「誰が殺したかではなく誰が殺してないのか」で招待客全員がアーサーを殺そうとしていた、という説も持ちだして参りました。

バレットさんも怪しいしダーリアも「バン!」とか言ってみたりしてるしもう暗闇の中で全員寄ってたかって殺したに違いない。

 

 そんなバナナみたいな馬鹿な狂気!

 

ここまで読んでくださってありがとうございました。 ここまで読んでくださった方はいるのだろうか?お疲れさまでございました。

それではよいマーダーを!